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西洋流の継母に鍛われて、今また昔風の姑に練ねらるる浪子。病める老人としよりの用しげく婢おんなを呼ばるるゆえ、しいて「わたくしがいたしましょう」と引き取ってなれぬこととて意に満たぬことあれば、こなたには礼を言いてわざと召使いの者を例の大音声だいおんじょうにしかり飛ばさるるその声は、十年がほども継母の雄弁冷語を聞き尽くしたる耳にも今さらのように聞こえぬ。それも初めしばしがほどにて、後には癇癪かんしゃくの鋒ほこさき直接に吾身われに向かうようになりつ。幾が去りし後は、たれ慰むる者もなく、時々はどうやらまた昔の日陰に立ち戻りし心地ここちもせしが、部屋へやに帰って机の上の銀の写真掛けにかかったたくましき海軍士官の面影おもかげを見ては、うれしさ恋しさなつかしさのむらむらと込み上げて、そっと手にとり、食い入るようにながめつめ、キッスし、頬ほおずりして、今そこにその人のいるように「早く帰ッてちょうだい」とささやきつ。良人おっとのためにはいかなる辛抱も楽しと思いて、われを捨てて姑に事つかえぬ。
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