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文一郎はこの宗兵衛の長子である。その母の姉妹には林有的はやしゆうてきの妻、佐竹永海さたけえいかいの妻などがある。佐竹は初め山内氏五百を娶らんとして成らず、遂に矢川氏を納いれた。某それの年の元日に佐竹は山内へ廻礼に来て、庭に立っていた五百の手を※と[#「てへん+參」、U+647B、198-15]ろうとすると、五百はその手を強く引いて放した。佐竹は庭の池に墜おちた。山内では佐竹に栄次郎の衣服を著きせて帰した。五百は後に抽斎に嫁してから、両国中村楼の書画会に往って、佐竹と邂逅かいこうした。そして佐竹の数人の芸妓げいぎに囲まれているのを見て、「佐竹さん、相変らず英雄色いろを好むとやらですね」といった。佐竹は頭を掻かいて苦笑したそうである。
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