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それは私たちが出発してからちょうど三週間目のある夜のことであったが、病気になった一人の囚人を診察に来た医者が、その囚人の寝台の中に手を入れて、ふとピストルの形に手をふれたのであった。でももし彼がだまっていたなら、おそらくすべての事を被おおってしまうことが出来たに相違なかった。けれど彼は神経質なおっちょこちょいだったもので、キャッと云うと真蒼になってしまったので、すぐ何事が起ったかを感づいて、その医者を捕えてしまったのだ。そうして彼が大声をあげないさきに猿轡さるぐつわをはめて、寝台の下にしばりつけてしまった。医者はデッキへ通じるドアを鍵をかけないでおいたので、私たちはそこを通って躍り出した。たちまち二人の歩哨兵は射殺された。それは何事が起きたのだろうと、調べるために走り寄って来たのだった。事務室の戸の外に、兵士が二人いた。しかし彼等の鉄砲は装弾してなかったと見えて、発砲しなかった。そして彼等は銃剣をつけようとしている間に、うち殺されてしまった。こうして私たちは船長室に突進した。が、ちょうど私たちがその室へやのドアを引きあけた時、中から爆音がきこえて来た。そうして彼はその中で、テエブルの上にピンで留められてあった大西洋の地図の上にのめってい、その側かたわらには煙の出ているピストルを持った教師が立っていた。また、二人の番兵は水夫たちに捕えられ、かくしてすべての仕事は仕末がついたように見えた。
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