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保の同級には今の末松子すえまつしの外、加治義方かじよしかた、古渡資秀ふるわたりすけひでなどがいた。加治は後に渡辺氏を冒し、小説家の群むれに投じ、『絵入自由新聞』に続物つづきものを出したことがある。作者名みょうは花笠文京はながさぶんきょうである。古渡は風采ふうさい揚あがらず、挙止迂拙うせつであったので、これと交まじわるものは殆ほとんど保一人いちにんのみであった。本もと常陸国ひたちくにの農家の子で、地方に初生児を窒息させて殺す陋習ろうしゅうがあったために、まさに害せられんとして僅に免れたのだそうである。東京に来て桑田衡平くわたこうへいの家の学僕になっていて、それからこの学校に入いった。齢よわいは保より長ずること七、八歳であるのに、級の席次は迥はるかに下しもにいた。しかし保はその人ひとと為なりの沈著ちんちゃくなのを喜んで厚くこれを遇した。この人は卒業後に佐賀県師範学校に赴任し、暫しばらくして罷やめ、慶応義塾の別科を修め、明治十二年に『新潟新聞』の主筆になって、一時東北政論家の間に重おもんぜられたが、その年八月十二日に虎列拉コレラを病んで歿した。その後のちを襲ついだのが尾崎愕堂おざきがくどうさんだそうである。
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