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真志屋五郎作は神田新石町しんこくちょうの菓子商であった。水戸家みとけの賄方まかないかたを勤めた家で、或ある時代から故ゆえあって世禄せいろく三百俵を給せられていた。巷説こうせつには水戸侯と血縁があるなどといったそうであるが、どうしてそんな説が流布るふせられたものか、今考えることが出来ない。わたくしはただ風采ふうさいが好よかったということを知っているのみである。保さんの母五百いおの話に、五郎作は苦味走にがみばしった好よい男であったということであった。菓子商、用達ようたしの外、この人は幕府の連歌師れんがしの執筆をも勤めていた。
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