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蘭堂という筆名は甚はなはだ不意気ぶいきだけれど、彼はまだ三十歳の青年作家で、作家仲間でも評判の美丈夫びじょうぶであったから、この種の誘惑には度々たびたび出会っている仕合者しあわせものだ。従って、いくら相手が美しいからと云って、直様すぐさま感激する様なお坊ちゃんではなかったし、彼には伯爵令嬢花園京子という寸時も忘れ難い人がある為に、この若き未亡人の優遇は、当惑の外の何ものでもなかった。
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