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暫らくして杉浦は五百と貞固との前へ出て、※(「桑+頁」、第3水準1-94-2)ひたいの汗を拭ぬぐいつついった。「実に分疏もうしわけがございません。わたくしはお照殿にお近づきになりたいと、先方へ申し込んで、先方からも委細承知したという返事があって参ったのでございます。その席へ立派にお化粧をして茶を運んで出て、暫時わたくしの前にすわっていて、時候の挨拶あいさつをいたしたのは、兼かねて申し上げたとおりの美しい女でございました。今日こんにち参ったよめ御ごは、その日に菓子鉢か何か持って出て、閾しきいの内までちょっとはいったきりで、すぐに引き取りました。わたくしはよもやあれがお照殿であろうとは存じませなんだ。余りの間違でございますので、お馬を借用して、大須家へ駆け付けて尋ねましたところが、御挨拶をさせた女は照のお引合せをいたさせた倅せがれのよめでございますという返答でございます。全くわたくしの粗忽そこつで」といって、杉浦はまた※(「桑+頁」、第3水準1-94-2)の汗を拭った。
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