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戦いをよそに、ただ一人この中に柴をかぶって潜ひそんでいたものらしいのである。この人は、信長の舎弟にあたる者だが、信長とは似ても似つかない「怖こわがり坊どの」であった。どうして武門になど生れたろうかと、不平ではなく、腑甲斐ふがいなき自分をつねに自分で嘆いているおひとでもある。しかし非常に気心がよく出来ている人間なので、信長も愛し、信忠もこの叔父は立てていたが、今暁以来、よほどびっくりしたものとみえ、軍中にも影も見せず声もしなかったので、いずれ逸早いちはやくどこかへ逃げたものとのみ皆思っていたらしかった。
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