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なおこの室内に在りますものが、あの皿一つでない事は申すまでもありませぬ。しかも両側の窓の鎧戸よろいどや、入口の扉が、固く鎖とざされておりまするために、この部屋の闇黒の度合は極めて深くなっておりますので、あの汚物の燐光が辛うじて認められます以外には、何一つ発見出来ませぬ。どこかでシイ――インと湯が湧いているような、死んだような静寂の裡に、正木博士撮影の「天然色、浮出し、発声映画」のフィルムはただ、漆のように黒く、時の流れのように秘ひめやかに流れて行くばかり……五十尺……百尺……二百尺……三百尺…………。
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