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若い鷹たかは私の頭の上に舞っていた。私はある草の生えた場所を選んで、土のにおいなどを嗅かぎながら、そこに寝そべった。水蒸気を含んだ風が吹いて来ると、麦の穂と穂が擦すれ合って、私語ささやくような音をさせる。その間には、畠に出て「サク」を切っている百姓の鍬くわの音もする……耳を澄ますと、谷底の方へ落ちて行く細い水の響も伝わって来る。その響の中に、私は流れる砂を想像してみた。しばらく私はその音を聞いていた。しかし、私は野鼠のように、独ひとりでそう長く草の中には居られない。乳色に曇りながら光る空なぞは、私の心を疲れさせた。自然は、私に取っては、どうしても長く熟視みつめていられないようなものだ……どうかすると逃げて帰りたく成るようなものだ。
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