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彼は早速東京へ出て芝なるある中学の三年に入学した。成績も好い方で皆にも有望の青年視せられた、云わば彼は暗黒より光明に出たようなものである。しかしその実彼は幸福ではなかった、彼は漸ようやく寂寞せきばく孤独の念を萠きざして来た、日々何十人何百人という人に逢うけれども一人も彼に友たる人は無かった、それがために彼は歎いた。泣いた。悲哀の種類たねるい多しといえども、友を有せぬほどの悲哀はないとは彼の悲哀観であった。
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