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五月に至って勝三郎は房州へ転地することを思い立ったが、出発に臨んで自分の去った後のちにおける杵勝分派の前途を気遣った。そして分派の永続を保証すべき男女名取の盟約書を作らせようとした。勝久の世話をしている女名取の間には、これを作るに何の故障もなかった。しかし勝四郎を領袖りょうしゅうとしている男名取らは、先ず師匠の怒いかりが解けて、師匠と勝四郎との交まじわりが昔の如き和熟を見るに至るまでは、盟約書に調印することは出来ぬといった。この時勝久は病める師匠の心を安やすんずるには、男女名取総員の盟約を完成するに若しくはないと思って、師家と男名取らとの間に往来して調停に努力した。
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