不倫流され「――うん、燕はね」「ツルゲーネフは?」
外崎さんの書状は間もなく来た。それに『前田文正まえだぶんせい筆記』、『津軽日記』、『喫茗雑話きつめいざつわ』の三書から、抽斎に関する事蹟を抄出して添えてあった。中にも『喫茗雑話』から抄したものは、漁村の撰んだ抽斎の墓誌の略で、わたくしはその中うちに「道純諱いみな全善、号抽斎、道純其その字あざな也なり」という文のあるのを見出した。後に聞けば全善はかねよしと訓よませたのだそうである。
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