不倫現場ホテルその四十五あたしを忘れないで下さいませ。
「説明はわかりませんが、おっしゃる通りです。わたくしは今朝六時に家を出まして、二〇分にレザヘッド駅へ着き、それからウォータルー行きの始発に乗ってまいりました。わたくしは、わたくしはもうこれ以上耐えられません。このままではおかしくなりそうです。頼れる人がおりません……誰も。ただひとり、心配してくれる者もありますが、あいにく、力になれないのです。そこでホームズさんのことを思い出して。ファリントッシュさんからうかがって、助けていただいたことがあると。この住所を教えていただいたんです。どうかわたくしをお助けください。いえ、せめて、今わたくしを取り巻いている深い闇に、少しの光を……。今のわたくしではお礼も十分には致しかねますが、あとひと月ふた月のあいだに結婚して、お金を自由にできるようになりますので、そうすれば相応のお礼もできるかと思います。」
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