東京モーション人妻

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新橋停車場に浪子の病を聞きける時、千々岩の唇くちびるに上りし微笑は、解かんと欲して解き得ざりし難問の忽然こつぜんとしてその端緒を示せるに対して、まず揚がれる心の凱歌がいかなりき。にくしと思う川島片岡両家の関鍵かんけんは実に浪子にありて、浪子のこの肺患は取りも直さず天特にわれ千々岩安彦のために復讎ふくしゅうの機会を与うるもの、病は伝染致命の大患、武男は多く家にあらず、姑※(「女+息」、第4水準2-5-70)こそくの間に軽々けいけい一片の言ことばを放ち、一指を動かさずして破裂せしむるに何の子細かあるべき。事成らば、われは直ちに飛びのきて、あとは彼らが互いに手を負い負わし生き死に苦しむ活劇を見るべきのみ。千々岩は実にかく思いて、いささか不快の眉まゆを開けるなり。
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