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ここと本能寺との距離はいくらもない。すでにその頃、暁闇ぎょうあんをへだてて、本能寺方面の空には何とも形容し難い物音が揚りはじめていた。いんいんと吹き鳴らす陣貝の音や鉦鼓しょうこのとどろきも聞えた。それは、天を震い地を揺るがすといっても、決して誇張ではないほど、この世の相すがたをただならぬものにした。およそこの朝、洛内の全市民は、寝耳に水をあびて刎はね起きたか、家の者に絶叫されて、飛び起きなかった者もあるまい。
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