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抽斎はかつて自ら法諡ほうしを撰んだ。容安院ようあんいん不求甚解居士ふきゅうじんかいこじというのである。この字面じめんは妙ならずとはいいがたいが、余りに抽象的である。これに反して抽斎が妻五百いおのために撰んだ法諡は妙極きわまっている。半千院はんせんいん出藍終葛大姉しゅつらんしゅうかつだいしというのである。半千は五百、出藍は紺屋町こんやちょうに生れたこと、終葛は葛飾郡かつしかごおりで死ぬることである。しかし世事せいじの転変は逆覩げきとすべからざるもので、五百は本所ほんじょで死ぬることを得なかった。
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