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そのとき遠くの空に貝の音が聞えた。本陣法養寺から市中の諸隊へ用意をうながしているのである。血戦の巷ちまたに聞く貝はいんいんと悽愴せいそうな余韻よいんをひいて何ともいえぬ凄味のあるものだが、かかる朝の貝の音はいかにもおおどかな悠々と寛くつろいだ気もちのするものであった。
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